≪1≫ 九州への出張移動中の新幹線車中で、最近(といっても去年)入手した古書(1987年訳、36年まえ!)D.ウェルズ「数の事典」をながめていたら、単位球の体積が5次元のとき最大となるという項目に出くわしました。この事実はかなり有名でして、ご承知の諸兄も多かろうと存じます。同書では、関連内容として
a)5次元のとき、体積V=5.26378・・・
b)次元を連続変数とした場合は、5.256・・・次元で最大体積V=5.27776・・・
とありました。以前から持っていた同系統の本、F.ル・リヨネ「何だ この数は?」(こっちは1989年訳と)ではa)の記述でしたので、b)もあわせて
「これら5付近にあつまっている数はどんな位置関係だろうか?また、次元の数値とそのときの体積数値が一致するのはどんなときだろうか?」
と、素朴なギモンを抱いてしまったわけであります。
≪2≫ さっそく「超球の体積」あたりでググってみますと公式が登場。
つぎに、これをGeoに入力。キレイなカーブです。
たしかに、x=5過ぎで体積は最高潮に。y=xの直線もプラスして頂上付近を拡大してみますと
3つの ● 点が、小さいものから順に、上記の
a)x=5次元での点;
b)x=5.256・・・次元での最大体積V=5.27776・・・の点;
そしてc)y=xとの交点が5.27767・・・
となり、この次元のときの体積が同じ数値になるという訳ですね。a)やb)は、おなじみのOEISではそれぞれA164103とかA074454とかにありましたが、c)は無さげな感じです。b)のすぐ近くにある、逆にいうと不動点c)のすぐ近くに最大点があるというのが、美味です。
≪3≫ すこし戻りますが、Vxの始めの方(xが0から4あたりまで)は、リニア―な増加状態。ここはちょっぴり興味深くスルーするには惜しい。
そこで、これによりそうy=x+1との比率比較曲線はどうかといいますと、
となって、2.506・・・次元あたりで、「対次元比」がプチ最大となる!とGeoさんはおっしゃっているようです。
≪4≫ こうなると、表面積のばあいはどーなんだろうと思うのは、自然な感情ですね。その公式は、体積と似通っていまして
(ただし、ここでのSxとはこの次元にある「球」で、例えばS2とは平面の円の円周2πを、S3とはふつうの球の表面積4πをあらわすものとします。)
比較のため、体積曲線とおんなじ座標に、こんどはみどり線にて表示しますと、
ってな感じになるようです。体積の場合と同様に各数値を求めますと
a)正の整数では7次元のとき、S=33.07336・・・(A164107)
b)実数の場合は、7.25694・・・次元のとき、S=33.16119・・・(A074456)
c)次元と表面積の数値が一致するのは、12.76405・・・次元のとき。(A175477)
それにしましても、12.76・・・次元って、さていったいどんなあたらしい風景がみられるのでしょうか?!