x! 線上の特徴点

≪1≫ 階乗シリーズのシメ(?)としまして、以前(およそ3年前)、指数関数y=e^xでみたような特徴点を、階乗線上、とくに0から1あたりの美的に湾曲した区間において探索していきたいと思います。例により、ときどき自家製の数学用語や記号を使用していますが、文意は汲み取って頂けるものと期待しております。

    

candy-house.hatenablog.com

 数値の計算結果は、主にWolframさんやときにはGeoGebraさんのインターセプト機能から引用しておりますが、転記マチガイなどはあるかもしれません。OEISさんで確認できたものは、例のA番号を付記してあります。(と申しましても、ほとんどない😓😓)

 階乗関数の表示は、正統な解析学上はガンマ関数 Γ(x)  =(xー1)!の方がメジャーなようですが、独善的嗜好により、ここでは非整数に対しても!のほうを使用して参りたいと思います。WolframさんやGeoGebraさんも、基本、対応してくださってますもんで!

[2025.05.14 *部追記]

 

 

 

≪2≫ まずは、x!自体の最小を与えるx。周知の通り、これは有名人。OEISさんでは A030 169, 、A030 171を参照願います。数値は、
    x=0.46163・・・

で、このときの最小値はこれ。
    x!=0.88560・・・

 参考までにx=0.5におきましては、ちょっと増えて

    x!=0.88622・・・
      

となり、ここでいきなり円周率 π が登場したり、陽なる表示(=有理数だとか、既知の無理数だとか式だとかでの表示が可能な数値という意味ですね)が可能だ!というのも、これまた有名事実であります。

[*追記] x!の最小値が、0.88560・・・ということは、正の実数の範囲じゃγ=0.57721・・・になれないってこと。ここは、本家 Γ(x) にガンバって頂きました。。。

    (-4.23408・・・)!=0.57721・・・

 

 

≪3-1≫ 続いては、図形的視点から興味深い点を探索していく。

 原点に最も近い点。これはキョリの式

    

の最小値を求めればよろしい。ということで
    x=0.22004・・・
となりまして、このとき最短距離として、
    f(x)=0.88216・・・
が成就されます、と。

 

 

≪3-2≫ つぎに原点からの直線距離が1となる点。あるいは単位円との交点ともいいます。2つありますが、非自明な方の点は先ほどの距離の式でf(x)=1としこれを解いていただき、
    x=0.46443・・・
をゲットできる訳であります。

 

 

≪3-3≫ では、曲率が最大(=曲率半径R が最小)な点。おなじみの曲率半径公式(いつもながら、少々、ややこしい・・・)

    

での最小値を求めますと、
    x=- 0.02425・・・
    Rmin0.77642・・・

 これは少々意外なことに、0からほんの少し負の領域に入ったところにあるとのこと。正統的なx!では範囲外ですが、ここはおじき関数 Γ(x) のお力を借りまして、なかまに入れておきましょう!

 以上の朱字4点の図示。

     



 

≪4-1≫ 続きましては面積関係。(面積はストレートに計算できるので、らくちんですね)

 そもそも、xが0から1までの ”凹んだ正方形” 風な部分の面積というのは、
    S=0.92274・・・
とのことで、これをベースにしましょう。(OEIS  A110 543)

 まずは、Sを2等分(=0.46137)するxは? 初めにみた最小点が0.46・・・と左方寄りなので、面積2等分線はこの 0.46 よりは多少右よりと想定されます。計算していただきますと、
    x=0.50236・・・
となり、ほんの少し0.5よりも大でした。中道やや左寄り。

 

 

≪4-2≫ では、0からxまでの面積が、オイラーの定数 γ =0.57721・・・となるようなxは? 
 概算予想値としましては、面積の数値が、半分の0.461から0.577 と0.11以上増えなきゃいけないのに加え、高さを約 0.9とすると、0.11÷0.9で、先ほどの値より0.12程度右のところにあるハズだ、と目ぼしをつける。正確な値は、
    x(γ)=0.63245・・・

 

 ところで、なんでここでオイラーの定数なのか?・・・と申しますと、これを選んだのは関数 Γ(x) との義理で、もしかすると同音の γ だったら陽なる数値に出くわすんじゃないの?という淡い期待での選出でした。ほかに、1/π や1/e をこころみるも、以下のとおり陽なる数値には至らず・・・。人生はキビシイもんです。
    x(1/π)=0.34117・・・
    x(1/e)=0.39690・・・

 面積がらみの点を並べておきます。

    



 

 

≪5-1≫ 面積のつぎは、弧長となります。

そもそもの、点(0,1)から(1,1)までの湾曲部分の弧長は、
    L=1.03513・・・
とのことであります。(OEIS  A335 960)

 ここまでの弧長が1となるというxは?これは、1に十分近いところにあるハズ。ということで、カタカタっとすると
    x=0.96748・・・

 

 

≪5-2≫ 続きまして、弧長Lの中点(L/2=0.51756・・・)となるxはと言いますと、、、

    x=0.49807・・・

とのことです。

 

 

≪5-3≫ そして、弧長がオイラーの定数 γ となるポイント。
    x=0.55762・・・
 なんとなくオイラーの定数っぽいですが、それは幻覚。

 

 弧長がらみの点たちです。

    



 

≪6-1≫ 弧長の次は、他関数とのカラミへ。差し当たり、三角関数は大切にせんといかんです。sinはそのままじゃ届かないのでアークさん ”a” の出番となります。cos はオリジナルとアーク、tanはそのまま出会いでOKです。これら各関数との交点は、

    x(asin)=0.80290・・・
    x(cos) =0.48260・・・
    x(acos)=0.62435・・・
    x(tan)  =0.74231・・・

 あと指数関数ですが、これも単純には交わらんのでエィ!y=e^x-1をもってきましょう。するってーと、こうなります。
    x(e^x-1)=0.64123・・・

 

≪6-2≫ 聖なる関数ゼータとの関係も無視する訳には参りません。これも、そのまんまでは交わりナシですので、代打として「シフトゼータ」つまり点(1,1)を(0,0)に持ってきたモノに登場いただきましょう。すなはち、y+1=ζ(x+1) との交点。
    x=0.77281・・・

 ついでに、これの逆関数x+1=ζ(y+1) との交わりも。
    x=0.73230・・・

 

 では、各関数さんとの交点の図。。。
ここまで来ますと、なにやらチャンバラ殺陣風の面影が漂ってまいります。

    

[*追記] 対数関数をもらしておりました。これはlnを上下逆さにするだけであります。チャンバラ劇で、最後に出てくるお侍さんみたいな感じ?

    x(-lnx)=0.41202・・・    

    

 数値だけ書くとイマイチおもしろみが少ないかもですが、「x!+ln(x)=0の解は?」とかするとたのしいかもです。(もっとも、PC使わずにこれを求めるのは厄介でありますが)
    



≪7≫ 恒例により、今回登場された定数さんたち総勢に勢ぞろいして頂きましょう。

    1.00000・・・ご存じ1!
    0.96748・・・弧長が1
    0.80290・・・asinと
    0.77281・・・シフトゼータと
    0.74231・・・tanと
    0.73230・・・アークシフトゼータと
    0.64123・・・指数関係関数と
    0.63245・・・面積がγ
    0.62435・・・acos
    0.55762・・・弧長がγ
    0.50236・・・面積が半分
    0.49807・・・弧長が半分
    0.48260・・・cosと
    0.46443・・・原点まで1
    0.46163・・・最小点
    0.39690・・・面積が1/e
    0.34117・・・面積が1/π
    0.22004・・・原点への最接近点
    0.00000・・・0!
   -0.02425・・・曲率最大点

    

 このなかで最も接近しているのは、「最小点」と「原点までが1の点」でその差約 0.0028 、次点は面積が半分と弧長が半分のところでその差約 0.00429 となっております。じつのところ、原点まで1の点を求めたとき、「それって(有名な)最小点と一致するんじゃ?」との妄想を抱いたのが今回の記事のはじまりでした。

 こうして登場された定数さんたちは、実数界(ほとんど超越数界)でそれぞれの個性を持って、燦然と存在しておられます。これはこれで立派なことだと思うのでありますが、万一、どれかとどれかが一致するっていう数が見つかれば、それは複数の性格を持っている数値ということになり、ちょっとニュースになるハズだと思っております。

 宝くじ等と同様、なかなか当たるもんではございませんが、「いつかは!」と信じ、定数発掘道を求めてまいりたいと思って居る今日この頃なんです!!

 

 本日も御静読、ありがとうございました。
    

    

 

 

 

 

階乗にある、はさまれた狭い領域

≪1≫ 先日来、階乗のグラフをいろいろイジっているなかで、愚生の好物である

    「はさまれた狭い領域」

に遭遇しましたので、いつものようにGeoGebraさんらの助けを得つつ、ちょっと記しておきたいと思います。

 

 

≪2≫ 対象は、ごくシンプルな以下のモノ。

    y1=x!

    y2=ln(x!)

    

 だれがみても、0から1あたりのカーブは似ている。なので、y1 を-1してみて重ねてみます。

     

重なり具合が見にくいので、ググっと拡大すると、

      

なるほど、赤の y1 がいつも大きいっぽい。

 では、これの差をとって、(y1ー1)ーy2 を描画。      

    

ぺちゃんこ部分を、見えやすく10倍に拡大すると、、、

    

みごとにムラサキ色の微妙なカーブが浮き出てまいりました。ピークは、定番の定数である

    x=0.46163・・・ (OEIS A030169 参照)

にて、目視では極大値は 0.008 くらいでしょうか?とすると、x軸との領域の面積は、(三角形とみなして)0.004くらいかと予想されますね。

 

 

 

≪3≫ さらに、文明のリキWolframさんも参加していただき、この曲線部分を「追跡」してみましょう。(「追跡」とはやや古風な表現で、対象の諸数値等を求めていくという用語です。福田ほか共編、詳解微積分演習Ⅰ、共立、1976,p145)

 まずは、ムラサキ色の最大値。これは

    y=0.00708・・・
とのこと。

 つぎに、この部分とx軸との面積は、

    S=0.00380・・・

とのことですので、上記の目視の予想値 0.004 に近い(😅)。

 ついでに、弧長もお願いしてみましょう。y1の弧長をL1;y2のをL2とします。予想値としては、最初のほうのグラフで底辺1、高さ0.2の三角形の斜辺とみなすと、1.02くらいかと。

 正確な弧長の計算をお願いしますと、

    L1≒1.03514

    L2≒1.03858

    その差は  L2-L1≒0.00344

とななりました。ここは、目視予想値とはちょいとズレがおおきいことが判明。。。

 そこでリベンジっぽく、すっかりおなじみの(?)円弧測定法でx!のほうをやってみますと、

    

    L1c≒1.03518
となって、小数点以下4桁くらいまでが一致の近似値がえられました。面積よりも弧長は、目視では難易度がアップする感じでした。

 

 

 

≪4≫ 数値の世界で、近似値が重宝されてますように、「はさまれた狭い領域」というのも近似値の2次元版のようで、たのしい観察対象なのであります。

candy-house.hatenablog.com

 以前の記事でもふれましたが、現実の地理・地図の世界でも似たような状況があり、身近さを感じております。このへんは小学生のころ、世界地図をながめて「南米のチリって、えらい細長いんやなぁ」と思った感覚と似ておるのであります。

 

 今後、3D対象物の表示技術がもっと発展すれば、3次元の世界でも同様な「近似面」を探索できるのではと期待しておる次第であります。現状では、ディスプレイ装置が平面、我々の眼の網膜も2次元ですので、ここは抜本的な技術革新が必要な感じもあります。人類の英知に期待しましょう。(なので、紛争とかやってる場合じゃないと)

π!とスターリングの公式

≪1≫ 先日は魅惑の数「π!」を、探索方法としてはまるっきり素朴な方法で探ってみた訳ですが、そもそも階乗にはスターリングの公式なる強力な漸近アイテムがありましたね。本日は、これがどの程度強力なものか、魅惑のサンプル π!を例として観察していきたいと思います。

 

 

≪2≫ スターリングの公式のモトの級数はこういう感じでした。(引用はWikiさんより)

ja.wikipedia.org

 

この最後の (  ) 内のうち、初項まで採用したものが有名な ↓ でありまして、nをxと書き換えて、

    

ここではこれをS1公式としました。(xが3回登場します)そしてちょっと欲張って第2項まで加味したのをS2公式と呼ぶことに致しましょう。

    

 まずは、これらのそのまんまのグラフはこんな感じ。色は順にx!が、S1が黄緑、S2が、あとx= π をむらさき線とします。

     

     

 黄緑S1がスタートでちょっと離されているようですが、x=2以上となると3者はおおむね団子状態、、、。

 

 

 

≪3≫ しかしながら、よくYouTubeに出てくる中国の山岳絶壁住居のような急峻な世界では近似という「感じ」が分かりにくいので、10分の1に抑え込んだグラフで見ていきましょう。

 

    

 x=π 周辺での傾きは多少穏やかになりましたが、1/10なので3者はますます団子状態で抑圧されてる感じです。(線の色が混合されて1色になっちゃってる。)なので、π との交点あたりの、下図赤丸部分を拡大。

    

 

 するってーと、こんな↓感じとなって、黄緑のS1はやはり ”多少” 離れているようですが、1/12xを加味した青色S2はかなり本家の赤色x!に迫っているのが観察できます。

    

 x=π にての各者の数値はこんな感じです。( )内は、本家に対する比。

    π! =7.18808 27289・・・

    S1:=7.00052 ・・・ (0.97390・・・)

    S2:=7.18622 ・・・ (0.99974・・・)

 

 この漸近式は本来、x→∞ で活躍されるものだった訳ですが、はじめに見た通りけっこう小さいx、2あたりのところからでも本家のx!にへばりついているような雰囲気が観察できますね。スターリングの「近似式」と呼ばれているのも納得できます。

 

 

≪4≫ 取り急ぎ、スターリングの公式が比較的小さい世界でも強力な近似式であることが見れたわけです。今日の様に描画ソフトで簡単にグラフを描ける時代にあっては、もっとこれを活用していった方が楽しいんじゃと思っています。計算ばっかりじゃ、いくら若いひとでもちょいと疲れてきます。五感や感覚で捉えてまずは、感動、アコガレを感じ取る、、、これが、最初にあるべきやと感じている今日この頃でありました。

 

本日も駄文にお付き合い頂き、ありがとう御座いました。

魅惑の数 π!

≪1≫ 種々の数学定数のなかで、円周率を階乗したもの、つまり

    

というのもたいへん魅惑的な数でありました。”ありました” と申しますのは、魅惑度は今でもぜんぜん衰えてはいないのですが、探索する難易度が今日では超カンタンになっちゃいました〜という意味あいですネ。

 文明が進歩した現代社会では、電卓ソフトかなんかで、p,i,!と計3回キーを押せば、ポィと応えて下さる。( π キーがあるなら、計2回)

  π!=7.18808 27289・・・

 優美な富士山の山頂に、文明の利器・人間ドローンかなんかでポィと行けちゃう感じ。

 ですが、これではまんであいそナシなので、本日はちょっと回りくどくコレに迫ってみようとのココロミとなります。

 

 

≪2≫ π!を知りたいんだ!というときにまず思いつくのは、階乗の定義っぽく1づつ減っていく数を1未満にならない範囲で順に掛けていくというの。すなわち、コレ↓

    π・(π-1)・(π-2)

これの数値を計算してみますと、7.68064 ・・・となって、本家のものより少々大きい。周辺状況の観察のために、π が入ってる範囲:xが3から4の範囲で、関数y=x(x-1)(x-2)を見てみる。これは3次関数となりグラフはこんなで、(赤いのが本家x!青いのが3次関数

    

 う~ん、通過点(3,3!)と(4、4!)はx!と当然一致している訳ですが、曲がり具合を比べると「急激増加度」が不足している感じで、そのためか{π}=0.141592・・・(小数部分ですな)増えただけでもう十分大きく増えちゃう。タメが無いっちゅうか。

 そーいえば、(下に)凸をパワーアップしたものに「対数凸」というのがあリました。たいがいの増加関数でも抑え込んでしまう関数・対数をとっても、まだ下に凸。3次関数でもなんでもn次多項式関数の対数はn·lnxとなって、対数lnの性質に支配され凹となる。じっさい、上記の3次関数の対数版はこうなって ↓ 

    

そもそも関数の性格自体が違っているようで、近似としてもイマイチなのが目視できる。(一方は凸で、他方は凹、、、。ダメだこりゃ)

 

 

 

≪3≫ では、ということで、指数関数の(対数をとっても凸になるように)二乗以上で、両端での値が一致はもちろん、さらに両端での傾きもx!に一致するものならどうだろう、と。
 両端での傾きのところは、ちょいと牛刀使用で、mamekebi-scienceさんによりますと舎弟関数 Γ の場合で、

     

とのことですので、n!なら1ずらすで。(hnは調和数:1+1/2+・・・+1/n)

mamekebi-science.com

 指定の数値が4コなので、未知の係数も4コ入れた

    y=exp(ax^2+bx+c)+d

を仮設定。通過点(3,6)、(4,24)と
傾き(3,3!( –γ+h3) ),(4,4!( –γ+h4) )を代入し係数a〜dを求めていく・・・。

 この先、このワリカシ単純な計算がうまくいかず、今回はスルーとさせて頂きます😖

 

 

 

≪4≫ 以前、弧長測定で登場した円弧近似法ではどうでしょう。円弧用の3点を、2,3,4ではまったくダメなので、3,4とあと中間の3.5で、ここでも牛刀援用で、Wiki「ガンマ関数」によれば、半整数地点では

    

とのことですので、3.5!=Γ(4.5)=7!!/16・√π=11.63172・・・。

 以上の3点を使用して円弧近似を実施した結果は、7.41329・・・となって、3次関数版よりは多少マシ程度、でありました。

 

 

 

≪5≫  今回の π!は、円周率と階乗の素朴な掛け合わせによるものでした。今回のデザートとして、階乗絡みで、また虚数単位iも交えて、いろんな定数さんたちに登場頂きましょう。

    ・|i!|=0.52156・・・
       OEISさんではA212879。象形文字みたいな面白みがあります。
       これはまた、そのまま舎弟関数、|Γ(i)|にも等しいと。

    ・x=2.44861・・・ = π (!^(-1))
       これは、x!= π の解、という意味ですな。(自家製記号に要注意)
       Wolframさんさんで、Γ(x+1)=πとすると、そっと出して下さいます。

    ・x=2.14489・・・
       原点から直線距離で π 離れた点のx座標。
       y=x!、x^2+y^2=π^2の解として、同じくWolframさんの賜物。

    ・1.31574・・・
       今回登場の π! の π!根!(最後の!は感嘆符デス)

    ・4.47763・・・
       もう1段、よくばってみた。

    ・x=3.56238・・・
       x!=x^2の解の、非自明なやつ。
       Γ(x)の不動点でもありまして、OEIS:A218802を参照。

    ・x=1.14251・・・

       x!=x^0.5の解。
       1も解なので、ちょっとだけ大きいところで、再度交わり、
       狭ーい領域を形成しています。

candy-house.hatenablog.com

 

    

 いかがでしたでしょうか。最後は「数学定数版・舞踏への勧誘」という感じを満喫いただけましたでしょうか?

 

続・デザルトの改良版を、見る

≪1≫ 先日、素数に関してのデザルトの改良版と、そのモトとなっていたベルトラン・チェビシェフの定理を観察しましたが、その中間に「チェビシェフ・シルベスターの定理(定数)」(1891)なるものが存在してるってことを、最近、ル・リヨネ「何だこの数は?」(東京書籍、p32)で知りました(いまさらですが😆)。

    

 このあたり、ニッポンのオイラーとも称されるIkuroさんのホームページにも、特にチェビシェフの結果についての解説が御座います。

 それを再記しておきますと、

    どんな定数 α >0に対しても、十分大きなnに対し,

    n<P<(1+α)n

    を満たす素数Pが少なくともひとつ存在する.

当初は、α=0.092・・・とされていたようですが、どんだけ小さいαでも、xさえ大きくとれば、OKとのことです。α=0.001でもα=0.00・・・0001でも。

 

 

 

≪2≫ これを、やはりGeoGebraさんのグラフ上にて、視覚的・直観的に捉えておきましょう。

    

 6本のグラフのつもりが、デザルトポイントまで俯瞰した場合 ↓ は、3本にしか見えないです。

    

 で、例によってそのあたりを超拡大 ↓ 。すると、5本が見えてくる。のこりの1本、水色の f(x)=2xは遥か上方欄外。

    

 赤いのがデザルトさんの改良ラインでしたので、黄緑のラインをあと半分くらい寄せるとニアリーになりそうです、この付近では、ですが。



≪3≫ 上のグラフの様に拡大で見ていますと、なんだか全部平行線のようにみえますが、これはそう見えるだけですね。
 デザルトさんの式の主要部 x/(lnx)^2 はこんな ↓ かんじですので、   

   

途中に変曲点があり、xが大きいところでは上に凸で、かなりゆっくりと∞に発散。
 他方、(1+a)x というのは、aがいくら小さくても角度のついた直線ですので、素数をサーチする範囲は直線的に広がってしまう。デザルトさんのほうが、xが大きいところでもかなり狭い範囲に絞り込める、ということが目視できますね。

 

 

≪4≫ サーチ範囲は、それでも ∞ に拡大していきますので、なんか一定の数でもあって、例えば「区間(x、x+1000)の範囲には、xが巨大な範囲では、必ず素数がある」という感じにはできないのか?と思いますが、これは無理っぽいですね~。

 xが、ある数Xの階乗Yのとき、Y+2、Y+3、・・・、Y+Xはすべて合成数だという「素数砂漠」があり、一定の定数の区間では、すぐにオーバーしそう。あと、Y+1が残っていますが、これは素数の場合もそうでない場合もあると。

 xが11!(=39916800 ≒ 3,900万)の場合の縦軸で見てみますと、これのすぐ上は階乗素数(!)、そこからしばらくは素数砂漠、さらに隣接砂漠もあり、次の素数は+17。この素数区間がひとつづつ大きくなっていっても(横軸方向)+17の手前+16までは素数が存在している。

 つまり、xが(11!、11!+16)の範囲では、縦軸方向の区間(x、x+18)内に少なくともひとつの素数が存在する、ということが分かります↓。

    

 ですが、xがもっと大きいところでは素数砂漠も+18なんていう範囲はすぐに超えてしまいますし、クセモノの x!+1 というのも、ときと場合によっては素数になる場合もあるわけですが、逆にこれが合成数になるxは無限にあるとのことです↓ので、

ja.wikipedia.org

これでめでたく、x+一定の数Aという上限設定はあかん!!と判明します。(なおもっと小さい場合で、この+18という区間設定が破綻している可能性は、、、十分ございます)

 

 今後、デザルトさんの改良版もさらに改良されていくと期待されますが、現状の改良版もかなり攻めている風に感じた次第であります。

 

 では本日もご清読、ありがとうございまし☃

デザルトの改良版を、見る

≪1≫ 昨年秋、小山信也先生の『素数って偏っているの?』技術評論社(2023)を購入しました。

https://m.media-amazon.com/images/I/813OkTtF0PL._SY522_.jpg

 その中の第0部( ≒  序章)で、素数界では有名な「ベルトラン・チェビシェフの定理」(予想1845-証明1852)と、その改良版である「デザルトの進展版」(2018)が紹介されていました。
 前者は世間一般に著名な定理ですが、後者の結果というのは愚生はこの本ではじめて知りました。本日は、このあたりの観察日記となります。

 まずは、この2つの定理をおさらいしておきましょう。

最初のは、

    「n≧2のとき、区間(n、2n)内に少なくとも1つの素数がある」    

ja.wikipedia.org

といものでした。かたや後者のものは

    「n≧ある大きな数Aのとき、区間(n、n+n/(5000(lnn)^2))内に

     すくなくとも1つの素数がある」

というものだそうで、Aは具体的に468,991,632と与えられています。(4億6800万…です)ja.wikipedia.org

 ( ↑ この方ですよね)

 愚生は、計算でうんぬんするっちゅーより、目で見る方がすき派なもんですので、いつもの様にこれらをGeoGebraさんに頼んで目で確認してみたい!という衝動に駆られてしまいました。

 

 

 

≪2≫ さっそく、x、2x、そしてデザルトさんの各関数を、そのまんまグラフで表示していきましょう。

    

     

 おっとう、これはx=10 程度の小さいところでのグラフでした。x=1は別として、デザルトさんの赤いグラフはほとんどみどりにベッタリな様子が観察できます。

 参考に、このあたりでの素数の点をプロットしてみましょう。 

     

    

 点で示したところは、xを超える最初の素数です。(x、2x)のゾーンに存在していて、チェビシェフの定理が確かに成り立っているのがみえますが、まだxが全然小さいので、緑~赤のデザルト・ゾーンには全く入っていません。というか、そもそもこのあたりじゃ、赤いグラフは緑からまだ1も超えていません。(つぎの素数どころか、整数にさえ届いていない)これが、1を超えて次の整数になるのは、Xが94万以上のときだとか。(不等式 n/(5000(lnn)^2)>1の解で、n>946805 )

 

 

≪3≫ 小さいところでの観察はこれくらいにして、次にデザルトさんの仰るxが大きいところを見ていきましょう。

     

 オレンジ色の縦の線が、冒頭のn>A(=4億6800万…です)の線ですが、上図ではやっぱりみどり線にベッタリなのでどんな感じかよくわかりません。そこで、このあたりをzoom upしてみると、下図。 

     

 y軸の値で、目視では 1860-1610=250くらいの範囲に素数が少なくとも1ケ存在するというのがデザルトさんの改良。(正確には、235.29・・・の範囲)

 実際に、この範囲に素数があるのか?ということで、今度はWEBの素数表からAを超える最初の素数をとってきますと、468991867 ということなんですが、これは上のグラフじゃ、かなりキワドイ感じです。

 で、例によってここを再度zoom upで下図に。これでめでたく、ぎりぎりですが無事に範囲内に入っていることが観察できた次第です!

    



 

≪4≫ 図には載せていませんが、この境界線前後(というか左右)はずっとこの素数「468991867」になってるらしいです。末尾4桁に注目しますと、

    x               それを超える最初の素数

    468991618・・・468991619 (ここまでは、1619が素数

              1619・・・          1867 (ここからしばらく1866までは、1867

              1620・・・          1867

       ・
       ・
       ・

              1866・・・          1867 (ここまでは、1867がすぐ上の素数

              1867・・・          1897。

 上のグラフにプロットするとしたら、左右にずっと1867が水平に並ぶ感じになります。それは、つまりチェビシェフ・ゾーンには入っているが、デザルト・ゾーンにはx=A以上でないと入れないという、境い目の状況が観察できる次第ですね。

    

 チェビシェフの定理をながめていますと、その係数「2」ってもう少し小さくならないもんかなぁ?と「a・x」スタイルでの改良を期待しておったのですが、デザルトさんの「x+B(x)x」というスタイルはずいぶんと意外な感じをうけました。xの範囲が、かなり大きいのですが、それでもそれ以上だとすべて成り立つっていうところが、何か貴婦人のような凛とした感じでありまして、好感が持てる訳であります😅

 

では、本日はこのへんで。

 

n穴面の貼り合わせのこと

≪1≫ 古い数学ノートを整理して、シュウカツ(!)の準備をしていましたら、下記の書き込みにでくわしました。トポロジックなものですが、出どころの記載はありませんでした。もしかしたら、その界隈では有名問題なのかもしれません。

 彼の世でもヒマなときに楽しめるよう、ちょっとメモっておきます。

 

≪2≫ その問題とは以下の通りです。

    ・穴がn個あいた面を、1枚ずつ準備する。穴0個も含めて、合計n+1枚。

    ・これらの周辺と穴の淵(合わせて、辺と呼びます)を接着させて、
                  1個の閉じた立体をつくることを考えます。

    ・ただし、辺はジブン自身には接着できず、また接着は3枚以上多重には
     出来ないとします。

    ・また、辺がどこにも接着できず残っているのはだめです。

 具体的には、こんな ↓ 感じです。穴が、0,1,2ケの3枚の場合、準備する面は
これ。

  

 ここでちょっと割り込みですが、穴が1ケという面は、次図のように、筒状に変形でき、ハンドルとか触手みたいに貼付けて使えます。

  

 これをふまえてちょっと考えますと、冒頭の穴数0、1、2の3面の場合については、例えば以下のように貼り合わせが可能となりますね。

  

 つまり、赤い矢印のように接着して、2のうちの残った穴は0でフタをするイメージですね~。これで、図のように閉じた物体が出来上がりました。(文中の数字は、その穴数の面を表すものとします)

 つまり上記の場合、

    [0、1、2]は構成可能

となります。

 

 

≪3≫ さきの例題と同様な貼り方で、下図のように

    [0、(1、)n、n+1]

も構成可能です。(1)のところは、図で見てもらったら分かると思いますが、1を筒としてし使ってもヨシ、あるいはnの外周をn+1の外周に直接貼り付けてもヨシ、という感じです。

  

 あるいは、貼付け方をちょっと変えると

    [0、1、2、n、n+2]

  

というのも構成できそうです。
 貼り合わせる辺が「1対1」なら、外周も内周も含めた辺の総数は偶数のハズですが、確かに上記の構成例は偶数となっています。

 

≪4≫ 冒頭のノートには、面Sの穴の個数を記号 を使って

    (S)=n

という風に書いてありました。こんなシャレた記号はジブンでは使わないので、たぶん何か(書物か雑誌とか)に書いてあったもののメモの様かとも思えます。

 せっかくの青春時代のメモが、ユーカリへと行っちゃうのはちょっと淋しい、彼の世に持っていきたいと思い、ここに書き記した次第で御座います。(ユーカリとは、京都・奈良にある民間の古紙回収エリアのことです)えーと、彼の世でもHatenaBlogふうなの、ありますよね。


[1/29 追記] 最後の2体の図を追記しておきます。どっちも「美」とは言いにくい…いやあかん、きょうびこれは容姿ハラと言われそうです!