≪1≫ 階乗シリーズのシメ(?)としまして、以前(およそ3年前)、指数関数y=e^xでみたような特徴点を、階乗線上、とくに0から1あたりの美的に湾曲した区間において探索していきたいと思います。例により、ときどき自家製の数学用語や記号を使用していますが、文意は汲み取って頂けるものと期待しております。
数値の計算結果は、主にWolframさんやときにはGeoGebraさんのインターセプト機能から引用しておりますが、転記マチガイなどはあるかもしれません。OEISさんで確認できたものは、例のA番号を付記してあります。(と申しましても、ほとんどない😓😓)
階乗関数の表示は、正統な解析学上はガンマ関数 Γ(x) =(xー1)!の方がメジャーなようですが、独善的嗜好により、ここでは非整数に対しても!のほうを使用して参りたいと思います。WolframさんやGeoGebraさんも、基本、対応してくださってますもんで!
[2025.05.14 *部追記]
≪2≫ まずは、x!自体の最小を与えるx。周知の通り、これは有名人。OEISさんでは A030 169, 、A030 171を参照願います。数値は、
x=0.46163・・・
で、このときの最小値はこれ。
x!=0.88560・・・
参考までにx=0.5におきましては、ちょっと増えて
x!=0.88622・・・
となり、ここでいきなり円周率 π が登場したり、陽なる表示(=有理数だとか、既知の無理数だとか式だとかでの表示が可能な数値という意味ですね)が可能だ!というのも、これまた有名事実であります。
[*追記] x!の最小値が、0.88560・・・ということは、正の実数の範囲じゃγ=0.57721・・・になれないってこと。ここは、本家 Γ(x) にガンバって頂きました。。。
(-4.23408・・・)!=0.57721・・・
≪3-1≫ 続いては、図形的視点から興味深い点を探索していく。
原点に最も近い点。これはキョリの式
の最小値を求めればよろしい。ということで
x=0.22004・・・
となりまして、このとき最短距離として、
f(x)=0.88216・・・
が成就されます、と。
≪3-2≫ つぎに原点からの直線距離が1となる点。あるいは単位円との交点ともいいます。2つありますが、非自明な方の点は先ほどの距離の式でf(x)=1としこれを解いていただき、
x=0.46443・・・
をゲットできる訳であります。
≪3-3≫ では、曲率が最大(=曲率半径R が最小)な点。おなじみの曲率半径公式(いつもながら、少々、ややこしい・・・)
での最小値を求めますと、
x=- 0.02425・・・
Rmin=0.77642・・・
これは少々意外なことに、0からほんの少し負の領域に入ったところにあるとのこと。正統的なx!では範囲外ですが、ここはおじき関数 Γ(x) のお力を借りまして、なかまに入れておきましょう!
以上の朱字4点の図示。
≪4-1≫ 続きましては面積関係。(面積はストレートに計算できるので、らくちんですね)
そもそも、xが0から1までの ”凹んだ正方形” 風な部分の面積というのは、
S=0.92274・・・
とのことで、これをベースにしましょう。(OEIS A110 543)
まずは、Sを2等分(=0.46137)するxは? 初めにみた最小点が0.46・・・と左方寄りなので、面積2等分線はこの 0.46 よりは多少右よりと想定されます。計算していただきますと、
x=0.50236・・・
となり、ほんの少し0.5よりも大でした。中道やや左寄り。
≪4-2≫ では、0からxまでの面積が、オイラーの定数 γ =0.57721・・・となるようなxは?
概算予想値としましては、面積の数値が、半分の0.461から0.577 と0.11以上増えなきゃいけないのに加え、高さを約 0.9とすると、0.11÷0.9で、先ほどの値より0.12程度右のところにあるハズだ、と目ぼしをつける。正確な値は、
x(γ)=0.63245・・・
ところで、なんでここでオイラーの定数なのか?・・・と申しますと、これを選んだのは関数 Γ(x) との義理で、もしかすると同音の γ だったら陽なる数値に出くわすんじゃないの?という淡い期待での選出でした。ほかに、1/π や1/e をこころみるも、以下のとおり陽なる数値には至らず・・・。人生はキビシイもんです。
x(1/π)=0.34117・・・
x(1/e)=0.39690・・・
面積がらみの点を並べておきます。
≪5-1≫ 面積のつぎは、弧長となります。
そもそもの、点(0,1)から(1,1)までの湾曲部分の弧長は、
L=1.03513・・・
とのことであります。(OEIS A335 960)
ここまでの弧長が1となるというxは?これは、1に十分近いところにあるハズ。ということで、カタカタっとすると
x=0.96748・・・
≪5-2≫ 続きまして、弧長Lの中点(L/2=0.51756・・・)となるxはと言いますと、、、
x=0.49807・・・
とのことです。
≪5-3≫ そして、弧長がオイラーの定数 γ となるポイント。
x=0.55762・・・
なんとなくオイラーの定数っぽいですが、それは幻覚。
弧長がらみの点たちです。
≪6-1≫ 弧長の次は、他関数とのカラミへ。差し当たり、三角関数は大切にせんといかんです。sinはそのままじゃ届かないのでアークさん ”a” の出番となります。cos はオリジナルとアーク、tanはそのまま出会いでOKです。これら各関数との交点は、
x(asin)=0.80290・・・
x(cos) =0.48260・・・
x(acos)=0.62435・・・
x(tan) =0.74231・・・
あと指数関数ですが、これも単純には交わらんのでエィ!y=e^x-1をもってきましょう。するってーと、こうなります。
x(e^x-1)=0.64123・・・
≪6-2≫ 聖なる関数ゼータとの関係も無視する訳には参りません。これも、そのまんまでは交わりナシですので、代打として「シフトゼータ」つまり点(1,1)を(0,0)に持ってきたモノに登場いただきましょう。すなはち、y+1=ζ(x+1) との交点。
x=0.77281・・・
ついでに、これの逆関数x+1=ζ(y+1) との交わりも。
x=0.73230・・・
では、各関数さんとの交点の図。。。
ここまで来ますと、なにやらチャンバラ殺陣風の面影が漂ってまいります。
[*追記] 対数関数をもらしておりました。これはlnを上下逆さにするだけであります。チャンバラ劇で、最後に出てくるお侍さんみたいな感じ?
x(-lnx)=0.41202・・・
数値だけ書くとイマイチおもしろみが少ないかもですが、「x!+ln(x)=0の解は?」とかするとたのしいかもです。(もっとも、PC使わずにこれを求めるのは厄介でありますが)
≪7≫ 恒例により、今回登場された定数さんたち総勢に勢ぞろいして頂きましょう。
1.00000・・・ご存じ1!
0.96748・・・弧長が1
0.80290・・・asinと
0.77281・・・シフトゼータと
0.74231・・・tanと
0.73230・・・アークシフトゼータと
0.64123・・・指数関係関数と
0.63245・・・面積がγ
0.62435・・・acosと
0.55762・・・弧長がγ
0.50236・・・面積が半分
0.49807・・・弧長が半分
0.48260・・・cosと
0.46443・・・原点まで1
0.46163・・・最小点
0.39690・・・面積が1/e
0.34117・・・面積が1/π
0.22004・・・原点への最接近点
0.00000・・・0!
-0.02425・・・曲率最大点
このなかで最も接近しているのは、「最小点」と「原点までが1の点」でその差約 0.0028 、次点は面積が半分と弧長が半分のところでその差約 0.00429 となっております。じつのところ、原点まで1の点を求めたとき、「それって(有名な)最小点と一致するんじゃ?」との妄想を抱いたのが今回の記事のはじまりでした。
こうして登場された定数さんたちは、実数界(ほとんど超越数界)でそれぞれの個性を持って、燦然と存在しておられます。これはこれで立派なことだと思うのでありますが、万一、どれかとどれかが一致するっていう数が見つかれば、それは複数の性格を持っている数値ということになり、ちょっとニュースになるハズだと思っております。
宝くじ等と同様、なかなか当たるもんではございませんが、「いつかは!」と信じ、定数発掘道を求めてまいりたいと思って居る今日この頃なんです!!
本日も御静読、ありがとうございました。