ついにはプライムゼータをタワーリングする巻

≪1≫ 数列の無限和や無限乗積で、最後はどうなるのかって思うのはすごく楽しいことですね。今回は、和や積以外の演算の多重積み重ねでもってその結末を楽しむというツアーとなります。

 和の記号 ∑ 、積の記号 Π にならって、ここでは累乗をT、連分数をK、多重根号をRで表したいと思います。連分数のKだけは、マイナーではありますがWolframなどでも使用されてる正式な数学記号ですね。(あとの2つは、自家製のものですんで)

     

 

     

     

 どれもn=1から ∞ を考えますが、表記は省略しています(メンドウなため)。また K ではbn=1というのが「正則」だとか称されて、よく扱われるのも有名かと。  

 今回はこれらそれぞれの演算に、定数や自然数列、素数列をいれると、さてどないなことになるんやろかという内容でございます。

 

≪2≫ で、まずは累乗タワーのT。素朴な直観では、収束にはan→1が必要と思われますが、真実はさにあらず、0.065・・・から1.444・・・のあいだの一定数なら収束すると。(数学定数事典、p452~など)

 有名どころは、an=√2(=1.414・・・)の場合。これの極限値が2とのことで、これはこれでシブいです(遠くへ行ってしまうと思いきや、実家がえりみたいな微妙な感じ)。

 つぎにan=1/(n+1)のばあい。つまり、

    

前掲書によれば、これは偶数・奇数で0.658・・・と0.690・・・とに「2値収束」するとのこと(ただし、正式用語法ではこれは「発散」扱い)。OEISではA242759と60です。

 そして、an=素数列pnのばやい、

    

この場合も収束値は偶数・奇数で分かれ、0.719・・・と0.609・・・ですと。(OEISでA117493と92に登場)

 どちらも、ぱっと見では収束するのかすら分からない点とか、2値収束しちゃうなんてところが、じわります。

 

≪3≫ つぎに連分数Kさん。定数an=1;

     

は、これまた著名な黄金比 φ=1.61803・・・(OEIS A001622、数学定数事典p5~)より1をさっぴいたもの、あるいは黄金比の逆数 1/φ とも言われます。

 つぎに、an=nのばやい、それとan=素数pnのばやいはそれぞれ、

     

     

となり、数値は0.69777・・・(A052119 C1、連分数定数との愛称がついてると)、および0.43233・・・(A084255 愛称不詳、連分数定数の素数版とでも)ですと。

 

≪4≫ 駆け足ですが今回のトリ、多重根号のRさん。定数1、自然数素数の順に登場いただきましょう。

     

     

     

それぞれの数値は、黄金比φ、1.75793・・・(A072449 数学定数事典p8)、2.10359・・・(A105546)とのことであります。

 

≪5≫ 上記の演算さんらは、理論的にはすでにいろいろと探求されているようでして、また変種亜種も多種にわたっているようです。このせいか、今回求めた数値は、すべて既知のものばかりでした。未知の数ハンターとしてはやや残念な面もございます。

 

 そこで、アンコールにお応えしてOEISにも未登場(探しきれてないだけ?)の新曲2つを紹介して、マクとさせて頂きましょう。 ζ(n)は泣く子も黙るゼータカンスウで、これをタワーリングしてみますと、、、

    

    

実験での数値は、1.83630・・・1.82645・・・です。どちらも、OEISさんではhitせず、Wolfさんに計算して頂いた(途中?n=15までの)結果でありますます。どっかに出ているのを発見されたら、ぜひとも御教示くださいませ。

 

〈参考〉

・数学定数事典(朝倉書店) その名のとおり、定数の宝庫。いつもながらお世話に  なっております。

・OEIS  リンク先のMathWorld含め、お世話になっております。

・Wolfram  ゼニもはらってないのに、最後の計算とかも、文句も言わずにやってくれます。Z世代とは、えらい違いや~🤗