≪1≫ 「ほとんど整数」(または、ほとんど一致)という数学分野では、そうなる理由が数学的にある程度説明できるものと、そうではないものとに分類できますよね。
前者の説明できる例は有名どころでは、
これは、小学生の必須暗記数値 π≒22/7 から出発して、7π≒22 として、まずはこれのcosをとる。πの奇数倍は、いつもー1。いっぽう22ラジアンといいますと、
つまり、22ラジアン=22×180°/π=1260.507...°=180°×7+0.507...°となり、これは実質180.507...°となるので、これのcosはといえば-1よりは少々プラス目となりやして
と。
この表現だけでも十分かと思われますが、算数の約分みたいに偶数22は半分にできるよねーのということで、はじめのsin表示に行きつきます。このほうが精度もアップしてほとんど整数の選手としては主流となっています。
他方、説明が見つかっていないという有名例は、
ですね。また、これが指摘されたのは 現代数論の三天王「スローン、コンウェイ、プルーフによって 1988 年頃別々に」(Wiki、MathWorldなど)というところもジワリます。ここいらは、「おそらくオイラーも気づいていた」んでしょうが。
さて、前置きが長くなりましたが、前回のグラフでの海峡風接近例で、そうなる背景の説明がつかないものかどうなんか、探ってみたというご報告となります。
≪2≫ まづは前回の最初の例;
というものですが、これは単純にy=1となるのが、y1ではe、y2ではπとなっていて、そもそもがeとπが近い!ということに起因しているようです。
ということで、y1-y2が極小となるxは、x=2.77...で、ちゃんとe以上π以下でした。
どなたか高名な方がおっしゃてましたが、こんな超弩級の数学定数2つがこんなに近い場所にあるってこと自体が非常に神秘的だって。まさにそのとーり!
≪3≫ 次に2例目;
これもx=1での値を考えてみますと、y1のほうはy1=lnΓ(1/2)=ln(√π)
=(1/2)lnπ。この lnπというのは、eを何乗したらπになるかという数なので、1よりは少々大きいハズ。なのでその半分y1は0.5より少々大きいハズ。(実際には約1.144÷2=0.572)
他方、y2=cos1というのは、cos60°=1/2なので1ラジアン≒57°からして、1/2より少々大きいはず。(実際にはcos1=0.540...)
ということで、x=1での値がそもそも近いという、結果から追っかけたゴリ説明が可能なんです。こちらも最小点はx=1.08...で、1のお近くでした。
≪4≫ 3例目
同様にx=0でのそれぞれの数値を見てみますと、y1の方はζ(0)=-1/2だから
y1=sin(-1/2)で、先ほど同様-1/2ラジアンでのsinとなると-30°よりちょい浅いので、-0.5よりちょいプラス目。(実際は-0.479...)
他方y2は、ζ(0)=-1/2そのもの。
従いまして、x=0での値が近い。で、最小点は今回は0からは少々ずれますが
x=-0.315...となるのでありました。
≪5≫ 作為的にこしらえたのもではこんな例もゴザイマス。
これは一目瞭然、2π、4πといった偶数πでどんどん接近していきます。これは、
それぞれの性質;ζ→1とcos≦1から明らか(1/Γ(x)乗は、より接近させようとの仕掛け)なので、イマイチ面白みに欠けるものであります。最小点は、おそらく偶数πよりも少しだけ進んだところにあるのでしょうね。
さて、こんなのはどうでしょう。
これはちょっと数値的な説明も出来ていません。数値自体は、
となっていて、前回の最小記録1000分の6を更新しているのですが。
≪6≫ とまぁ、Geoさんにキテレツ風ないろんなグラフを描いていただき、それを眺めては勝手によろこぶという高尚で無意味な戯れで残暑を凌いでおる次第であります。
今回の最後に、はじめの例のその次の煎じものとして、近似分数π≒355/113から
をあげておきましょう。9の9乗風の表記は、9が9個続きますよという岩波公式の表記を流用しています。
355ラジアンとは、すなわち180°+0.0017...°とのことで、この少々のところが9個の9のモトになってるようです。
それにしても、この程度の数字の個数でもって、9個までイケてるって、これはなかなか美味な感じがしています❣
【9/4 補遺】
πの近似分数を、さらに酷使しますと
sin22 + tan22=0.00000 03467 51280...;
sin355+tan355=0.00000 00000 00013...
などというのにも出会えました~。
≪参考資料≫
いっくん、数学クラスタが集まって本気で大喜利してみた、2021,KADOKAWA
p119 ほとんど整数の数をいえ