≪1≫ 本日は螺旋の曲線でもって、その美を堪能していこうと思います。まずはシンプルな素材からということでr=1/θというのもあるんですが、θ軸(x軸)が漸近線になるところの
のほうがいっそう美的と思われますので、こっちを題材にしましょう。
≪2≫ まずは、外観美から。
これにはちゃんと名前がついているようで「リチュース螺旋」(またはリチウス)と呼ばれているとのことです。
じっくりと外観を堪能したあとは、例によって特徴点を見ていきましょう。
≪3≫ まずθ軸からすっと登ってきて、最大のポイントがθ=60°を超えたあたりにあるように見受けますね。(グラフの補助線は30°づつです)「最大」というのは、x-y平面での最大という意味であります。
これを計算で求めるというココロミ。極座標と直交座標の変換式から
というところまではたどり着き、陰関数の微分にアタックするも力尽き挫折。致し方なく、手計算(といってもエクセルで)。5ケタ程度の数値はでたものの、OEISにもなし、というところまでの観測です。
≪4≫ 続いて観察しますと、θ=30°あたりに変曲点がありそうですね。直交座標のときのことばを流用すれば、θが約30°までは「内に凸」、約30°以降は「外に凸」となるイメージです。そうして、このあたりを求めるのにWEB内をサーチしていましたら、もう一点、曲率が最大となる点もこのあたりにあるとのこと、で、先ほどの最大点とともにこれら3点を表と直交座標上のグラフに記入してみました。
A点(赤丸):最大点
B点(黄☆):変曲点
C点(青角):最大曲率点(最急曲点?)
B点、C点については文献[2]からの引用となります。そこにある曲率のグラフとその導関数のグラフを再記しておきましょう。[2]には、κ、κ’の式もありますので、関心を持たれた方は是非参照なさってください!
緑:曲率(θ=0.5でκ=0)
青:曲率の導関数(θ=0.26…でκ'=0)
≪5≫ [2]でも述べられていますが、もとの螺旋たちはデザイン方面や建築方面への関連も密なようです。こうしてみると螺旋もやはり、外面そして内面に美を持ち合わせているようです。
【参考図書】
[1]森口ほか著、岩波数学公式Ⅰ、岩波全書、2020、p285(ここでの呼称がリチウス)
[2]三浦ほか著、アルキメデス螺旋,フェルマー螺旋,リチュース螺旋,および双曲螺旋を含む代数螺旋の提案とその性質、2019 年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集 、p679、680(webにPDFあります)