≪1≫ 「なんとかの何乗」というベキ演算では、交換法則が成り立たないのをいいことに、 a^b と逆にしたb^aとの大小問題がよくお目にかかりますね。有名どころでは、
といったものです。[1]~
これの定番解法というのは、対数をとって比較するんだということで、関数y=ln(x)/xがx≧eでは
と単調減少ですんで a、bを e≦a<b とした場合には、 ln(a)/a>ln(b)/b つまり a^b>b^a となるということで、はやい話が「指数が大きいほうが大きい」ということです。(両方ともeより大きい場合です)冒頭の3例はそういう例ですね。
同様にしてa、bがともにeより小さいときは大小が逆転し、こんどは底数が大きい方が大きいとなるわけです。
【6.11 修正です】
(ɤはオイラーの定数) 等々。
πはe以上でした😅 例としては、かわりに 2 としておきます。
(引き続き、ɤはオイラーの定数)
≪2≫ 状況を俯瞰するためにつぎの、2数の差の関数をもってきましょう。
いきなりですが、これを3DーGeoさんに描画してもらいます。(見やすくするためですが高さz軸方向は少々縮めてあります。)
ちょっとx軸に沿った山脈みたいなところの向うがわかりにくいので、視点を変えるとこんな感じです。座標でいうと(15,10,10)あたりから見る。
ここで観察されることは、
・x^y=y^xとなる、すなわち z=0 となるのは、グラフで「海岸線」風
に見える個所のハズだ。
・それはy=xはアタリマエとして、なにやら双曲線っぽい曲線上でも等しく
なっている。2^4=4^2などは、この曲線上にあるハズ。
・交点は(e、e)っぽい。x=1,y=1が漸近線。
・(x、y)での値と(y、x)での値は+-が逆。つまり奇関数ふう。
ここで2数が等しくなるという「海岸線」をピックしてみます。つまり、x=yなら当然2数は等しいのですが、あとx≠yでも 2^4=4^2みたいに等しくなる点が、反比例みたいな曲線(きみどりの曲線)上に乗っかっていて、その付近では大小の区別が発生しているという状況です。
いま奇関数性のため、y>xつまりy=xより上側のみを対象としましょう。そしてxもyもe(むらさきの線)で区切ると4つの領域に分かれます。領域①②は「指数の大きい方がおおきい」、領域③④は逆のエリアです。
サンプルの点でいいますと、A点は π^e<e^π、B点、C点も上記の点となります。
≪3≫ はじめの関数y=ln(x)/xで判別できるのは、領域①と領域④となりますね。
逆にこれでは判定不能な、③や②、あるいは曲線付近のキワドイ2数をもってきて大小を比べてみるという新種の楽しみ方もできます。
たとえば、√3と5とかで、数値的には、
√3^5=15.58845・・・
5^√3=16.24245・・・
となりまして、指数の大きいほうが小さい、つまり負の領域③に属しているという感じです。
こんごは、このあたりの判別方法を模索するということで苦悩して(楽しんで?)いきたいと思っております。
御静読、有難うございました。
≪参考書≫
[1]鈴木貫太郎「大学入試数学 不朽の名問100」(ブルーバックス、2021)、p167~
[2]一松信、牛島照夫「数学の問題第3集」(数セミリーディング、1988)、問27,76
などなど。