超冪の入口でたたずむ

≪1≫ 数列{}があって、その和は記号で Σ 、積は Π で表されるのはみなさま、ご承知のとおり。

で、その「次の演算」となるベキの積み上げ;

     

に対する記号というのを、本日は差し当たりと致しましょう。つまり、

    

という感じです。これは英語でテトレーションとか言われてますので、そのカシラ文字ということです。有名なところでは、定数an=√2の場合、

    

というのが一例。

本日のところは、定数じゃない数列{}に対する収束値は・・・、というあたりで残暑をしのぐとのココロミとなります。

 

≪2≫ a=定数の場合のおさらい

極限が収束するためには、和の場合の→0や積の場合の→1と同様、いやそれ以上にベキの場合は→1が収束の必要条件かと信じていたものですから、上記のような例は愚生にとってはすこぶる意外でありました。

今日では(というか、オイラー以降らしいですが)、aが定数aの場合については、

    

すなわち 0.06598・・・≦a≦1.44466・・・であればTは収束するとのことで、その解説やグラフもあちこちにもあります。

グラフについてはknifeさんのアメーバブログにあったのが0近辺の表示もあってvery goodと思いました。0近辺というのは、nの奇数・偶数で別々の値に近づくということで、正統な分類では発散扱いとなるようです。(グラフソフトで連続的に偶奇の描画を繰り返すと、子犬がしっぽを振っているようで、カワイイですよ💛)


≪3≫ a=数列の場合

定数じゃない場合ということで、差し当たり、自然対数の底eの定義式の類推による a=1+1/nの場合を見てみましょう。つまり、こんな感じですね。

    

これは収束して、数値は 3.50380 99724・・・とのことで、これはながいあいだ愚生のお気に入りランキング上位の数値でした。いくつか、他の例もあげておきましょう。なお、証明や細かい検算は割愛(!)していますので、あしからずご了承願います。

   

≪4≫ 冒頭の「たし算、かけ算、累乗の次の演算はなーに?」というのは、おそらくみなさんも高校生あたりで一度は考えられたかと思います。こんにちでは、「次の」さらに「次の次の」・・・と、「巨大数」方面の研究が盛んな様ですし、net上では中間の演算やマイナスの演算なんかも論じられているようですね。

今回は、その入口あたりでたたずみ、数値あそびを興じてみた次第であります。

 

≪参考図書≫

[1]淡中忠郎、a^a^a^・・・の性質について、数学セミナーリーディングス「数学の問題 第2集」日本評論社(1978)、付録-1  p171-172(タイトルの原文は^記号ではないです)

[2]戸川隼人、実験的数学入門、現代数学10-77、現代数学社、p43

[3]R.フィンチ、数学定数事典、朝倉書店(2010)、p452

[4]寺阪英孝編、数学小事典、講談社ブルーバックス(1977)、p94